人口を均衡する水準まで合計特殊出生率を向上させる

 

ーー特に解決したいと考えている南陽市の課題はありますか?

最もやらなければならないことは、合計特殊出生率を人口置換水準(※)の2.07に上げることです。

日本全国の自治体で人口減少が進行しており、100年経たずに日本の人口は半減するとも言われています。

人口が爆発的に増える必要はないのですが、どこかで均衡を取らなければ、社会のシステムとしては難しい運営を迫られてしまうでしょう。

このような状況を打開するために、人口置換水準まで合計特殊出生率を向上させることが必要です。

雇用の確保や高齢になっても生きがいを持って生きられるための政策というのは、人口置換水準を達成する土台の上に成り立つものだと考えています。

※人口置換水準
ある死亡の水準の元で、人口が長期的に増えも減りもせずに一定となる出生の水準のこと。現在の日本の死亡の水準を前提とした場合、合計特殊出生率の人口置換水準は、概ね2.07となっている。(出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」)

 

ーーそのために南陽市で行なっている政策があれば教えてください。

合計特殊出生率の向上のためには、子育て世代の経済的な負担の軽減が重要だと考えています。

そこで、 1期目に『3人っ子ハッピーサポート事業』を始めました。

以下の表のとおり、第3子以降に対して、妊娠時の診療費補助、保育料の無料化、小・中学校の給食費無料化、という3つの支援を提供しています。

事業名 内容
妊娠確定前診療費補助事業 3人目以降のお子さんを妊娠し、妊娠の届出をした方に、妊娠がはっきりわかるまでにかかった診療費を助成。
保育料等無料化(軽減)助成事業 3人目以降の子どもを産み育てやすい環境づくりを推進するため、第3子以降の保育料等を助成。
第3子以降学校給食費無料化助成金交付事業 少子化対策の一環として、子供が多い家庭の教育費に係る保護者の負担軽減を図るため 、第3子以降の給食費を助成。

南陽市「3人っ子ハッピーサポート事業 」を参考に作成

声を上げればまちは変えられる

 

ーー最後に、市民の皆さんへのメッセージをお願いします。

昨今では、選挙に行く人が少ないという低投票率の問題があります。

『誰でも良い』『誰がなっても変わらない』と思っている皆さんが多いかもしれませんが、首長が変わればまちが大きく変わることは間違いないです。

実際の実務を担い、進めて行くのは職員の皆さんですが、まちの大きな方向性については、首長の影響力が強いです。

誰が首長かということも重要ですし、首長に対して市民の皆さんが意見を伝えることも大事です。

私も市民の皆さんと対話するために、市政公聴会に開催していますが、そういう意味ではまちづくりの主役は市民の皆さんなのです。

皆さんが声を上げれば必ず抱えている生きづらさや不満は変わります。

自らの手でまちを変えるワクワク感を楽しみながら、ぜひまちづくりに参画していただきたいと思います。

市の課題に真摯に向き合い、若者や子育て世代の視点を取り入れた取り組みに挑んでいる点が印象的でした。

貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

 

 

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佐藤 桃子 MOMOKO SATO

東北大学経済学部在学中。
2018年2月にMAKOTOグループにインターンとして参画。地方自治体向け新規事業開発、広報等の業務に従事。

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