つながりを大事にした地域再編で実現するコンパクトシティ。

夕張市の街はアルファベットの「Y」のような形になっており、炭鉱があった場所ごとに地域ができています。それが徐々に人口減少の波と行政の予算縮小の影響で不便な点が増えてきました。それについても見直したマスタープランに基づき、2021年度を皮切りに、見直し前の1都市拠点から3拠点による都市構造の形成を目指します。

 

地域再編を進めていくには、インセンティブを導入した居住誘導も必要になると考えます。というのも、少子高齢化により高齢化率が53%となっている中で、転居依頼はしにくいからです。現在の地域に住み続けたいという住民の意見も尊重したいと思っています。

 

これまでは地域住民の約3分の1が市営住宅に住んでいましたが、区域内で建物が新しい場所へ誘導もおこないました。今後も住民の皆さまの意向を最大限に汲みながら、インセンティブの導入で居住誘導も進めていきます。

 

夕張市はもともと炭鉱のまちだったので、地域のコミュニティが強いことが特徴です。昭和30〜40年代には、炭鉱住宅は長屋だったため、みんなで支え合って生活してきた方が多くいます。その影響で今でも隣近所との付き合いが深いのも夕張市の良さだと感じています。

そのため、住宅の問題を効率優先で考えてもうまくいきません。地域再編にしても背景を知り、配慮していくことが大切です。人口減少が続く今だからこそ、余計に人とのつながりは大事だと考えています。

 

夕張の産業を盛り上げていくために。

炭鉱のまちであった夕張市の経済は、単一の生産品に依存するモノカルチャーが主流でした。石炭産業が斜陽を迎えた頃から、今では世界で評価されている夕張メロンの栽培が盛んになりましたが、生産者は減少しています。そのうえ、夕張メロンの栽培には経験が重要であり、簡単に生産者になることができず、後継者不足に悩まされています。

 

そこで、栽培に携わってもらいながら、他の起業を進めていく方を増やしてはどうか、と考えています。たとえば夕張メロンの栽培をしながら冬はスキー場で勤務して頂くことなどが考えられます。そのため、夕張市に魅力を感じ、移住をしてくれる方が必要です。

しかし残念ながら現在は、予算の都合や雇用の受け皿が少ないこともあり、移住定住に対する発信は充分には行えておりません。

 

ただ、夕張は広大な山間の自然の中で、仕事をしながらゆったりと生活をしてもらうにはとても良い環境です。そのため、新しい事業を興したい方には最適だと思います。すでに確立している観光分野や自然など、夕張市ならではの資源に興味を抱き、そこから派生する飲食業や宿泊業を、一次産業とともに盛り上げていきたい方に来ていただければと思っています。

 

「住んでいて良かった」と言える夕張市の実現へ。

2007年から財政再建に取り組み、14年が過ぎました。市民のみなさまに長期に渡って市政運営にご協力いただいたおかげで、国からの借り入れもあと6年間で完済というところまで来ました。出口が見えたと言うには早いかもしれませんが、これだけ協力していただいたことに、しっかりと報いることができるようにまちづくりを進めていきたいと考えています。

 

炭鉱が隆盛だった時代から財政再建まで、市民のみなさまにとっては多くの試練がありました。炭鉱が閉山したり、仕事がなくなってしまったり、多くの苦境に立たされても住み続けたいと思っていただけたのは、夕張への愛着や環境の良さがあったからだと思っています。だからこそその良さを活かし、どんな世代も安心して暮らせる納得感のあるまちづくりを進めていきたいと思います。

 

現在の夕張市は、1960年代には約12万人いた人口が、その16分の1である7千人台にまで減少するという、急激な人口減少に悩まされています。しかしながら、この新たな苦境にも負けず、コンパクトシティを推進し、一つ一つ着実に進めていきます。そして「住んでいて良かった」と胸を張って言ってもらえるようなまちづくりをおこなっていきます。

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夕張市の伝統を大切にしながら、地域のつながりを大切にまちづくりを進める厚谷市長。

未来を見据えた戦略と、ふるさとを愛する姿勢がとても魅力的でした。

貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

自治体と共に地方から日本をおもしろく