今回の首長インタビューは、山形県上山市の横戸長兵衛市長。

上山市は蔵王山や温泉など、豊かな自然に囲まれたとても魅力に溢れたまちです。

その豊かな自然を生かしたクアオルト事業で農林水産省・内閣官房主催「ディスカバー農山漁村の宝」において、準グランプリに選ばれるなど、自然と健康を大切にしたまちづくりを進めています。

上山市の魅力や、将来の展望について横戸市長にお聞きしました!

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菅野永  HISASHI KANNO

東北大学農学部卒。地方銀行、公務員を経てMAKOTOへ参画。二輪レースで大怪我をした経験から、「残りの人生かけて大きな挑戦がしたい」という思いが芽生え、ベンチャーの世界へ。福祉系ベンチャー企業への出向も経験し、会計・オペレーション改善・販売促進・組織構築など現場での幅広い経験を持つ。 2018年7月にMAKOTO グループ化に伴い、MAKOTO WILL代表取締役就任。

 

株式会社上山市を経営する。民間発想を大切に、行政を進めていく。

私は44歳から市会議員として勤務しており、その中で行政について客観的に見てきました。市長となり現在4期目ですが、議員として特に大きな出来事は平成16年に市営競馬場がクローズしたことです。残された広大な跡地問題や馬主への保証から市が多額の借金を背負うことになりました。跡地をどのように活用していくのか、そして借金をどうやって返済していくか悩みましたが、その答えは民間活用だと考えました。そして最終的には大企業を誘致することに成功し、市の財政についても回復させることができました。

 

私は行政の運営に於いては、民間発想が大切だと思っています。具体的には金銭感覚をはじめ、さまざまな意思決定にも民間の視点を取り入れるというものです。これを「株式会社上山市」として考え、実行することを公約にも掲げています。そのために重要になるのが、市民のみなさまとの信頼関係の構築です。政策を作るのは行政ですが、それを実行に移し、行動していくプレイヤーは市民の皆様。だからこそ信頼関係を作ることを大切にしたいと思っています。

 

行政は採算を度外視しがちですが、民間であれば管理を徹底するはずです。そこには「自分のお金じゃないから」という考えがあるかも知れません。しかしそうした考えは排除しなくてはならず、全てを自分事として捉えていくことが大切です。つまり行政のお金も自分のお金と同じ感覚で大事に扱うことを徹底して説いています。ボールペン1本でもコピー用紙一枚でも、そこにはお金がかかっている。そしてそれは税金から払われているということを忘れず、意識をしっかりと持つようにしています。

 

そして机の上には書類を置かないことも伝えています。不要な書類はなるべく早く処分する。机の上にいつまでも書類があると、何か起こったときにそこから過去の書類を探し始めます。それは前例踏襲主義になっているということです。そうではなく、常に今の時代に合わせ、今の行政を進めなければなりません。そこで机の上のスリム化も勧めています。小さなことですが、積み重ねが大きな結果を生むのでこうしたことにもしっかりと目を向けています。

 

 

仕事は楽しくするもの。明るく、笑顔が溢れる場所にしたい。

私は職員の採用から人事配置に関するまで、全てに関わります。それは一人ひとりと向き合い、そして想いを共有することが大切だと考えているためです。そのため採用後、半年、一年のタイミングで全員と話すようにしています。なにを考えているのか、なにをしたいのか。そうした思いをしっかり聞き取り、こちらの想いを伝えることで心に変化を起こすことができると信じています。想いを伝えたり、聞いたりする機会がないと向上心も下がってしまいます。そうならないためにも積極的にコミュニケーションを取るようにしています。

 

職員には好奇心を持ち、やる気を持って職務に当たって欲しいと考えています。やる気を持つこと、スピード感があること、そして思考力があること。理詰めではなくてもいいので、がんばっているという姿勢を大切にしてほしいと思います。頑張る姿勢はどこかで見てくれている人が必ずいますし、頑張れば頑張っただけ上に上がれる。年功序列制度ではないので、頑張った先にはおもしろい仕事が待っています。学歴ではなく、明るくやる気がある人とまちづくりを進めたい。そこで大切なことは人間性です。人間性を重んじ、明るく、笑顔が溢れる場所を作ることで、仕事に来ることが楽しくなるようにしたいと思っています。仕事は嫌々やっても楽しくありませんし、楽しくすることでより良い仕事ができると信じています。

 

ないものねだりではなく、今あるものに目を向ける。健康を軸にしたまちづくり。

上山市には温泉や蔵王山などがあり、資源も豊富にありますが、長年住んでいるとそれが当たり前の事のように感じてしまいます。そして他のまちと見比べてないものねだりをしてしまう。良いところもたくさんあるのですが、どうしても悪いところや足りないところに目がいってしまうものです。そうではなく、良いところにもっと目を向けていこうと考えており、温泉地や蔵王山などの豊富な自然を活かし、クアオルト事業をはじめました。

 

クアオルトとは、ドイツ語で「療養地」を指します。上山市のクアオルト事業は地域の持つ可能性を引き出し、地域活性化に寄与した優良事例として、令和元年12月には農林水産省・内閣官房主催「ディスカバー農山漁村の宝」において、準グランプリに選ばれました。ないものねだりではなく、今あるものを生かした取り組みをおこない、まちづくりを進めていきたいと思っています。

 

そしてクアオルトを推進することで、健康都市を目指しています。医療費の増加は全国で問題になっており、上山市も例外ではありません。その圧迫を避けるため、クアオルトを軸にした自然を生かした運動を推進しています。自然の中を歩き、美味しいものを食べ、しっかりと睡眠を取る。なによりも健康が大切ですし、歩くための自然は豊富にあります。自然を生かしたオンリーワン、ナンバーワンの政策を進めていきます。

 

 

「小さくてもキラリと光るまち」を目指す。将来を見据え、挑戦をしていく。

私は「小さくてもキラリと光るまち」をつくっていきたいと思っています。人口が多ければいいわけでもありませんし、一人ひとりが光るまちが理想です。なによりも人が大切ですし、一人ひとりが光っていれば、外からも来てくれるようになります。外から来たときにホッとするような安心できて、楽しいまちにすることで、リピーターも増えると考えています。

 

人口減少は防がなくてはなりませんが、できないこともあります。それを見据えて対策を打つことがなによりも大切です。受け入れるものは受け入れて、それに対応したまちづくり、政策づくりを進めていきます。上山市にはどれくらいのことができるのかを常に考えて、1〜2年ではなく、20〜30年先を見据えた将来への挑戦をしていきます。そのためにもトップがなにをしたいのかを明確にし、方向性を示すことが大切だと思っていますし、限られた任期の中で、最大限努力をして結果を出していきたいと思います。

 

 

豊かな自然を活かした健康的なまちづくりや、市民一人一人に目を向けた「小さくてもキラリと光るまち」を目指す横戸市長。

今あるものに目を向け、自然と人を大切にしながら、将来を見据えてまちづくりを進める姿勢がとても魅力でした。

貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

 

 

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監修 佐藤春乃 HARUNO SATO

国際教養大学国際教養学部在学。グローバル・スタディス課程で、環境学・社会学の領域を履修中。2020年9月にMAKOTOグループにインターンとして参画。広報等の業務に従事。

 

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