今回の首長インタビューは、山形県山形市の佐藤孝弘市長。

 

山形市は「健康医療先進都市」を目指し、健康施策をつくる保健所の設置といった基盤整備だけでなく、高度医療技術を取り入れた先進医療の拡充などにも注力してきました。他方では、地元企業の支援や企業誘致にも力を入れるなど、地方の中核都市として、健康で活気ある地域をつくっていこうとしています。

 

今回は、山形市を牽引する佐藤市長にインタビューさせていただき、市長に就任された経緯、山形市のビジョン、そして山形市職員の皆様に伝えたいことについてお聞きしました!

 

ビジョンを掲げ、社会を動かす。政治家になることへの憧れ

地方公務員であった父と政治の話をよくしていた影響で、幼い時から政治に興味がありました。歴史を学ぶようになってからは、時代のリーダーがビジョンを示しそれに沿って世の中がダイナミックに動いてきたことに魅力を感じ、政治家になることへの憧れを持ち始めました。大学卒業後も政治家になることをゴールに据えながら、経済産業省、起業、政策シンクタンクなど、様々な環境で働きながら学んできました。

そのころから「地方をどう元気にするか」という問いについて、「地方の中核となる都市が元気になり、都市機能を維持することで持続可能な地域をつくっていけるのではないか」と自分なりの答えを持っていました。そんななかお誘いいただいたのが、まさに地方の中核都市である山形市の市長選への立候補。これは天命だと感じました。一度は落選してしまいましたが、その後地域を徹底して回り、市⺠の声を聞いたのちに出た二度目の選挙で当選し、現在に至ります。

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「健康医療先進都市」というビジョン

ビジョンを示し世の中を動かす政治家に憧れたと話しましたが、そんな私が掲げた山形市の長期ビジョンは「健康医療先進都市」となることです。

これまでの東京一極集中モデルは、全国的な人口減少によりいずれ限界を迎えます。地⽅では、いかに都市機能を維持するかということが重要になります。主に雇用・医療・教育が都市機能として挙げられるなか、山形市の場合、他の自治体と比べて人口当たりの医療資源が多いと言われてきました。そこで健康医療分野を強みとして「健康医療先進都市」となることを政策の柱にしました。

健康医療先進都市を目指す上で欠かせなかったのが、中核市への移行です。中核市に移行すると県から独立して保健所を設置・運営できるため、健康医療先進都市の実現に向けたまちづくりにより一層近づけると思いました。平成31年4月に中核市に移行してできた山形市の保健所は、感染症や食中毒対策といった危機管理の業務に加え、市民の健康状態を科学的に分析し健康施策をつくっていく、シンクタンクの機能を持ち合わせています。

こうした保健所が得た知見を政策に落とし込んだ例が、山形市健康ポイント事業「SUKSK(スクスク)」です。専用のスマートフォンアプリや歩数計を活用し、毎日の歩数や健康診断等を受診することでポイントをためることができます。一定のポイント数に達した方は、特産品などが当たる抽選に参加できる仕組みです。このような活動を通じ、市民のみなさんの健康に対する意識を高めようとしています。

このほかにも「健康医療先進都市を目指す」というビジョンに沿った取り組みはたくさんあります。冬でも健康維持のための運動ができる無散水消雪道路の導入のほか、高度医療を充実させるという観点では、⼭形大学医学部に東北・北海道で初となる重粒子線がん治療センターが開設されました。「健康医療」という柱を立てたことでまちづくりの方向性が明らかになり、各所との連携から一つのビジョンに向かっていく総合的なまちづくりができていると感じます。

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アフターコロナも見据えた、雇用創出のための支援

地方の課題の一つに「雇用」があります。

都市機能を維持させるために必要な「雇用」は、地元企業の支援や企業誘致を通じ、積極的にサポートをしています。

地元企業の支援としては、企業に伴走型の支援を提供する「Y-biz(ワイビズ / 山形市売上増進支援センター)」の取り組みがあります。地元企業が無料でアドバイスを受けられるコンサルティング機関です。Y-biz の利用者同士でコラボレーションが生まれたり、新商品が開発されたりするなど、地元中小企業の売り上げアップにつながっています。

企業誘致に関しては、新型コロナウイルスの影響で東京からの転出や海外から国内に生産拠点を戻す動きもあるなか、アフターコロナの世界を見据えての支援や誘致を行っていきたいです。現在取り組んでいる新たな産業団地の建設を進めるとともに、IT企業などのオフィス誘致にも力を入れてまいります。

 

民間企業との連携も視野に、山形市の強みをのばす

山形市、そして地域を元気にしていく上で、民間企業との連携が必要な分野もあります。軸となっている健康医療分野では、市民の健康寿命をのばすための健康ポイント事業に代表されるように、企業とコラボレーションすることで可能性が広がる事業がもっとあるのではないかと考えています。

観光・文化交流の分野でも連携の余地があると思います。例えば、小学校の旧校舎を活用した観光文化交流センターである「山形まなび館」。この施設は現在、山形市が「ユネスコ創造都市ネットワーク」に映画分野で加盟認定されたことなどを活かし、文化芸術活動の発信拠点にしていこうとしています。⼭形国際ドキュメンタリー映画祭や、⼭形交響楽団、東北芸術工科大学など、⼭形の文化芸術活動を体感していただける場であるとともに、山形らしさが伝わるお店など、コンテンツをより魅力的にするために地元企業との連携もできればいいと思います。こういった場がエリアに与えるインパクトは大きいため、周辺エリアを活性化させるような施設にしたいです。

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「チャレンジ精神」で動き「提案」してほしい。市職員への期待

市の職員には、常に「プラスアルファで何ができるか」を意識してぜひ積極的に「提案」して欲しいと言っています。目の前の問題に対応する業務ももちろん大事ですが、それに加えて、それぞれの部署ではそのビジョンに沿った政策を積極的に提案してほしいです。何か長期的なビジョンに沿った行動ができないか。これを積極的に考えていくことで、去年より今年、今年より来年といったように改善がなされ、大きなビジョンの実現に近づけると思います。自分の仕事にどういうプラスワンができるか、それを常に頭に置いてほしいです。

そしてもう一つ伝えたいのは、「チャレンジ精神」の大切さ。変化の早い社会のなかで、スピード感を持って行政の仕事をするためにはチャレンジ精神が必要です。新しいことを恐れず、AIなどの先端技術についても取り入れられるものはぜひ活用していく姿勢を持ってほしいですし、私自身も常にそうありたいです。

 

おわりに

佐藤市長は、「健康医療先進都市をつくる」という確固としたビジョンを持ち、医療基盤の整備や先進医療の拡充などの取り組みを続けてきました。

 

このビジョンを軸にしながらも、雇用創出に向けた伴走型支援やコロナ後の社会を見据えた企業の誘致を行うなど、「チャレンジ精神」と「プラスアルファ」の姿勢が印象深かったです。

 

貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

 

 

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