はじめに

 

昨年から新型コロナウイルスの影響でテレワークへの移行が進んだことで、人口の密集地域を避け地方のリゾート地で仕事をする人が出てくるなど、日本でも徐々にワーケーションの人気は高まっています。

 

福利厚生を整えたい企業やリフレッシュを求めるビジネスマンにとって人気のワーケーションですが、自治体がワーケーションをしたい人々を誘致することで、関係人口の創出、地元の産業振興など地域活性化、ワーケーション推進地域としてのブランディングにつながった事例も報告されております。現在では全国の様々な地域で独自の施策が実践されています。

 

そこで今回の記事では、関東や東北でワーケーションを進める株式会社MOLE 岡崎様をお呼びしたセミナーの内容から、ワーケーションを検討する自治体職員の方には知って頂きたい、民間企業のワーケーションへのニーズやワーケーションの導入を進めるための基本的な考え方について解説していきます。

 

登壇者:

<ゲスト>

株式会社MOLE 代表取締役 岡崎友宏 様

宮城県出身。ソーシャルゲーム会社を経てヤフー株式会社に入社。ヤフーでは、デザイナー、フロントエンドエンジニア、プロジェクトマネージャー、UXデザイナー、定性調査エキスパートとして従事。ヤフーに在籍中の2015年7月からに大学生向けにプログラミング・デザインなどの教育と就職支援を無料で行うTRUNK株式会社を設立しCCOに就任。2017年4月からデジタルハリウッド大学の非常勤講師や、横浜国立大学のアプリ作成講座など兼任。 その後、2019年から株式会社MOLEでデザイン事業を始める。株式会社MOLEでは、WEBやアプリの受託開発事業と並行してワーケーションを活用した地方創生事業を行う。

https://workation.app/ 

 

<モデレーター>

株式会社MAKOTO WILL 代表取締役 菅野 永

地方銀行、公務員を経て2015年1月にMAKOTOへジョイン。二輪レースで大怪我をした経験から、「残りの人生かけて大きなチャレンジがしたい」という思いが芽生え、ベンチャーの世界へ。MAKOTO地方創生事業を立ち上げ期から担当し、東北各地で自治体と連携した起業家支援プロジェクトを実施。2018年7月にMAKOTO グループ化に伴い、MAKOTO WIIL代表取締役就任。公務員時代は北海道庁市町村課職員として勤務。道内市町村の行財政運営サポート、道内公営企業の経営支援などを経験。

 

ワーケーションのメリットとは

 

岡崎:まずそもそもの話ですが、ワーケーションとはワーク(Work)とバケーション(Vacation)からなる造語で2000年代から米国で始まり、日本でもテレワークを推進するIT企業を中心として従業員の生産性向上のため導入されてきました。

このワーケーションが注目される理由として、企業にも自治体にもメリットがある点が挙げられます。

 例えば自治体ですと、ワーケーションをしに来ることで、宿泊施設が新しい顧客を獲得したり、いわゆる関係人口が増えたりします。一方で企業ですと、ワーケーションを進めることで企業の福利厚生になったり、その制度を活用することで社員がリフレッシュできたり、といったメリットがあります。

 

さらに昨年からはコロナウイルスの流行もあり、多くの企業がテレワークを解禁したことで、会社員・公務員のテレワークは去年の2.8倍、全ての職種で増加しており、特にIT企業を中心にリモートワークが急増中しています。またコロナ前では、フリーランスや経営者などの非会社員が大多数だったのに対し、コロナ後では会社員や公務員まで層が広がってきているというデータもあります。

 

 

ワーケーションをする人の特徴

 

ーーワーケーションをする人はどんな人がいるのでしょうか?

 

岡崎:基本的には、PCとWi-Fiがあれば仕事ができる人が挙げられると思います。

仕事の内容ですと、企画・マーケから経営者・フリーランスまで様々です。

 

意外かもしれませんが、ワーケーション 利用者の6-7割が女性だというデータも上がっています。

 

 

ーーなるほど。みなさん、どんなスケジュールでワーケーションをされているのでしょうか?

 

岡崎:一つ具体例をあげると、ある方は朝趣味の釣りをしてから、お昼から仕事を始めるという予定を組まれています。

 

 

またご家族の例ですと、お父さんが前乗りしてホテルで仕事をし、週末から家族と合流して旅行を楽しむという方もいらっしゃいます。

 

 

ーーみなさん自分のワークスタイルや家族のことも考えながら、プランを組まれていらっしゃるんですね。

 

 

ワーケーション事業の進め方

 

岡崎:まずワーケーション事業の進め方ですが、考えるべきことは基本的には普通の事業と変わりません。この2つの問いを意識して頂きたい思います。

 

まず一つ目は、「どんなKPI・KGIを設定するか?」です。

 

各自治体ごとに「関係人口を増やしたい」「宿泊施設事業者を助けたい」などゴールがあると思いますが、その目的に対してKGI、KPIをしっかり設定して頂くことが大切です。

 

二つ目については、「誰のためにどんなサービスを提供するか?」です。

 

デザイン思考よりの話になりますが、誰をターゲットにするか、そのターゲットの課題は何なのかはしっかり押さえて頂きたいと思います。

 

個人的におすすめなのが、女性ですね。女性の利用客が多いという話をしましたが、20代後半から30代前半の女性をターゲットにワーケーション事業を進めるのは良いと思います。

 

 

その他に私が考えておくといいと思うことは、ワーケーションをしたい人の最新情報を知っておくということです。Google Alertなどを利用して、ターゲットがどんなことに興味があるか?どんなキーワードが刺さるか?などを探します。

 

例えば最近だと、以下のようなキーワードがトレンドになっています。

 

温泉、湯治、ヨガなどを挙げましたが、ここから健康志向を意識した女性に求められるサービスや体験が作れると良いと思います。

 

ーー瞑想、ヨガ、確かに最近よく聞くワードですね。私もリモートワークで疲れが溜まって来ているので、瞑想とかはしっくり来ました。

 

ーーワーケーションのための環境づくりをしたいと思う自治体もあると思いますが、どんな環境が望ましいのでしょうか?

 

岡崎:そうですね。まず物質的なハード面でいうと、高速Wi-Fiや集中できる環境は必須で、加えて延長コードやモニター・プロジェクターなど基本的なオフィス用品があると嬉しいと思います。精神的なソフトの面ですと、リラックスできる環境ですね。

 

地域のリフレッシュできる施設や自然・温泉などの観光資源、そしてリラックスできる仕事環境作り、この2点がまずは大事かと思います。

 

 

ーー地域に既にコワーキングスペースがある自治体だと、導入しやすそうですね!

 

岡崎:はい。地域に既にそうした場所があれば、活用した方が良いと思います。

もしそうした施設がない地域でも、ちょっとした公のカフェやコーワキングがあるだけで効果があると思います。

ワーケーションの方の限定のカフェや施設もありますが、共有の場所にした方が交流が生まれやすため自由度高くリフレッシュして頂けると思います。宿泊は宿やホテルで、散歩していけるカフェやコワーキングスペースで仕事をするというのがちょうど良いかなと思います。

 

 

もし、導入を検討している自治体職員の方がいらっしゃれば、まずは一度ワーケーションをしてみることをおすすめします。

自分がワーケーションをする側に立つことで、どんなサービスや空間があると満足できるのかよく分かると思います。ぜひ試してみてください!

 

最後に

 

いかがでしたか?

今回はワーケーション 利用者のニーズや、自治体でのワーケーション事業の始め方について解説しました。

 

自治体にも企業・個人にもメリットがあるワーケーション。まずは一度、ご自身がワーケーションを実践されてみてはいかがでしょうか?

 

弊社では今後も自治体職員の皆様に有益なセミナーを開催して参ります。

最新情報は以下で発信しておりますので、ぜひご覧ください!

 

▼イベント情報

https://mkto-will.jp/category/event/

 

島越彩香 SAYAKA SHIMAKOSHI
宮城大学在学中に、一般社団法人MAKOTOでのインターンを経験。
2019年5月より、MAKOTO WILLに参画。PR・マーケティングチーム、アシスタント業務に従事。

 

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