今回の首長インタビューは、宮城県亘理町の山田周伸町長。

亘理町はいちごの生産量が東北一位、そして豊かな自然に育まれ、スポーツや歴史散策などの観光資源も豊富な、とても魅力に溢れたまちです。

さらに、起業家の集いの場づくりや、ワンストップサービスの拡充など、地域住民の目線に立った魅力あるまちづくりを進めています。

亘理町の魅力や、将来の展望について山田町長にお聞きしました!

 

震災が呼び起こした心。昼夜を問わず働く職員とまちづくりを。

わたしは亘理で生まれて、地元の小中学校を卒業し、高校と大学は仙台へ行きました。大学を卒業してからは損害保険の会社へ入社しましたが、家業である味噌・醤油の醸造、不動産、損害保険の代理販売をおこなう会社を継ぎました。

その後は仙台青年会議所副理事長、そして亘理小学校PTA会長を経て、亘理地区まちづくり協議会地区事業部会部会長に就任。

ところが2年前、前町長から「あとを継いでくれ」と言われ、とても驚いたことを覚えています。「行政の経験もないのにトップになってもいいのだろうか?」「自分にできるのだろうか?」悩みは尽きず、ずっと悩んでいました。

そのときに思い出したのが、必死で働く亘理町の職員の姿です。東日本大震災のときに、亘理町の復興のため、昼夜問わず働いていた職員たちのあの姿は、わたしの心に熱いものを呼び起こしました。「この職員たちとなら10年、20年先を見据えたまちづくりができる!」そう感じ、出馬を決め当選し、今に至ります。

 

「心の豊かさ」を大切に。ゆったりした心構えで暮らせるまちへ。

わたしは若いころは仙台での生活が多かったのですが、その時感じていたのは「亘理町をはじめ、地方のほうが、危機感を持っている」ということです。地方のほうが、「自分が何とかしなくてはいけない」という気持ちを持って活動していると感じていました。

そんなわたしが就任前から望んでいるのは、「心の豊かさを持つことができるまちづくり」です。物欲や金銭面だけでなく、亘理町の自然の中でゆったりとした心構えで暮らすこと

そのためにも一次産業をさらに上のステージに引き上げたいと考えています。亘理町は一次産業が優れていて、いちごの生産量は東北一ですし、水田も多くあります。今まではいちごも米もJAさんに出して終わりでしたが、これからは消費者の目線を感じる作物を作りたいと考えています。単なる生産者ではなく、消費者に喜んでもらえる作物を作ることができるのではないか。そのために消費者と農家が意見交換をしたりする場を作る。そうすることで、消費者の方から喜びの声をいただくこともできます。その喜びの声が心の豊かさにつながると、わたしは考えています。

笑顔が広がる交流拠点。オン・オフの切り替えができる亘理の良さを伝えたい。

亘理町は自然が豊かなことも自慢のひとつです。仕事は仙台で、という方も多いので昼間人口は減ってしまいますが、休日は地元で過ごす方も多くいます。それはつまり、オン・オフの切り替えができるまちだといえるのではないでしょうか。亘理町は自然を生かして釣りやサーフィンを楽しむ方も多くいらっしゃいますし、歴史散策など観光資源も優れています。そのため年間30~40名移住してくる方もいるほどです。そんな亘理町の良さを、もっと伝えていきたいとも思っています。

 

亘理町は東日本大震災で被災しましたが、復興は着手率ほぼ100%です。それはご家族が被災されていても自宅にも帰らず、昼夜問わず休みなく働いてくれた職員のおかげです。今現在残っているのは、避難道路、防災備蓄倉庫、海岸から1㎞くらい入ったところを5m程度嵩上することです。

役場庁舎も今年新しくしました。もともと約20年前に場所を確保していましたが、震災のため仮設住宅を建てるために使用し、役場庁舎も9年間仮設でした。

新しくなった役場庁舎は大きな多目的ホールがあり、この場所をさまざまな用途で利用できるようにしたいと考えています。目標は「笑顔広がる交流拠点」。実現へ向け、職員とともに動いていきます。

また今年度からネウボラを導入しました。ネウボラはフィンランド語で「助言の場」を意味するもので、妊娠初期から育児まで担当者がワンストップで対応できる仕組みです。通常年代ごとで担当課が分かれているため、手続きも大変ですが、ネウボラの導入により、利用者目線のワンストップ対応が可能になりました。

縦割りも大切ですが、それ以上に横のつながりが大切だと考えているため、こうしたものを進めていきたいと考えています。

いかに利用者の目線に立ち、使いやすいものを導入できるかが住みやすさにもつながっていくのではないでしょうか。

自治体と共に地方から日本をおもしろく