2020年8月27日、「『地域イノベーションラボこおりやま』から学ぶ官民連携プロジェクトのはじめ方」と題したオンラインセミナーを開催しました。

元公務員の弊社代表 菅野と、起業家のようなアツい志を持った公務員をゲストに開催する本セミナー。

5回目の開催となる今回は、郡山市役所産業政策課で創業支援を担当されている深谷大一朗さんをゲストに、社会起業家加速化支援プログラム「『地域イノベーションラボこおりやま』から学ぶ官民連携プロジェクトのはじめ方」 と題した開催レポートをお届けします!

 

登壇者紹介

<司会進行>

代表 菅野永

菅野 永 / 株式会社MAKOTO WILL 代表取締役

地方銀行、公務員を経て2015年1月にMAKOTOへジョイン。二輪レースで大怪我をした経験から、「残りの人生かけて大きなチャレンジがしたい」とう思いが芽生え、ベンチャーの世界へ。MAKOTO地方創生事業を立ち上げ期から担当し、東北各地で自治体と連携した起業家支援プロジェクトを実施。2018年7月にMAKOTO グループ化に伴い、MAKOTO WIIL代表取締役就任。公務員時代は北海道庁市町村課職員として勤務。道内市町村の行財政運営サポート、道内公営企業の経営支援などを経験。

 

 

<ゲスト>

深谷 大一朗 / 郡山市 産業政策課 産業振興・進出係長

2000年、郡山市役所入庁。2017年、産業政策課に配属後、「こおりやま広域圏連携事業」による創業支援事業の企画立案を担当。2018年には「こおりやま産業クラウドファンディング事業」を、2019年には「社会起業家加速化支援プログラム事業(地域イノベーションラボこおりやま)」の立ち上げを手がけ、こおりやま広域圏全体を盛り上げるべく奮闘中。企業・非営利組織・行政の垣根を超え連携するトライセクター・リーダーを目指しながら、官民連携のきっかけを築き、行政の立場で様々なプロジェクトを実現している。

※こおりやま広域圏の構成市町村:郡山市、須賀川市、二本松市、田村市、本宮市、大玉村、鏡石町、天栄村、猪苗代町、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町

 

「地域イノベーションラボこおりやま」とは?

今回のテーマは、官民連携プロジェクトのはじめ方。

事例として紹介した「地域イノベーションラボこおりやま」は、「コロナ禍を乗り越え、成長を目指す起業家のための伴走支援プログラム」です。

地域イノベーションラボこおりやま 公式サイト
https://chilab.biz/

変化の大きいコロナ禍の今を乗りこえ、こおりやま広域圏から「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成につながり国内外への事業拡大を目指す起業家やベンチャー企業等を広く募集し、事業を公民連携でブラッシュアップし、事業の成長を加速させるための様々な支援を行うものです。

※こおりやま広域圏の構成市町村:郡山市、須賀川市、二本松市、田村市、本宮市、大玉村、鏡石町、天栄村、猪苗代町、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町

 

「地域イノベーションラボこおりやま」にかける、深谷さんの想いとは?

 

郡山市の新規事業「地域イノベーションラボこおりやま」の企画立案から予算化、実現までを牽引してきた深谷さん。

事業立ち上げにあたり、どのような想いがあったのでしょうか?

 

深谷氏:「創業支援担当として、日々素晴らしいサービスや斬新なアイディアを持った企業や起業家と接する中で、行政の立場から彼らをサポートしたい、面白い事業を立ち上げたい、という気持ちが強くありました。

しかし、行政と企業が連携するパターンといえば、補助金、委託、協定の3つが一般的です。

例えば、補助金は行政が事業者を支援するために行うものですが、事業者を募集、審査し、交付して終わりというケースが多い、と思います。しかし、これでは、補助金を交付した後、どのような結果になったかまで追いきれず、長期的な支援には繋がりません

また、郡山市の創業支援事業には、創業希望者への支援事業はあっても、創業後の継続支援事業が少ないという課題もありました。

そのため、補助金、委託、協定の3パターン以外の方法で、起業家や企業と連携できないだろうかと考えていた矢先、先進事例を参考にして”事業採択”という新しい連携の仕方をやってみようと思ったのです。

今回、地域イノベーションラボこおりやまのプログラムでは、「自分たちで事業拡大していきたいので補助金は不要だが、行政とのつながりや起業後のサポートが欲しい」といった意欲ある企業を募集、審査し、採択者には、ワークショップを中心とした講座の提供や、メンタリング支援、マッチングイベント開催、コワーキングスペースの無償利用などの支援を提供することになっています。

このように、一時的な補助金を交付するのではなく、企業や起業家の皆さんに伴走支援していきますよ、という郡山市の本気度が試される事業なのです。」

 

深谷さんが考える、「新しい事業を提案・予算化する方法」とは?

 

先述の通り、想いを持って新規事業を提案、予算化してきた深谷さん。

具体的にどのようなプロセスを経て実行してきたのか、そのノウハウを伺いました。

 

 

深谷氏:「地域イノベーションラボこおりやまを提案、予算化するために、上図の通り7つを実践してきました。

地域イノベーションラボこおりやまが生まれる前、どのような事業が良いか考えていた頃に仙台市主催のスタートアップイベント”TOHOKU GROWTH Accelerator”にプライベートの時間を使って視察に行きました。これは、地域経済を牽引するロールモデル起業家、新規事業を生み出す仕組みを作るというプログラムで、とても参考になるものでした。

そこで出会ったのは、同じくイベントに参加していたアツい志をもった自治体職員や起業家たち。イベント後、彼らと意見交換をする中で、現在の”地域イノベーションラボこおりやま”のアイディアの原型にたどり着いたのです。

アイディアを思いついたあとに立ちはだかる壁は、事業の予算化。予算化するために、支援した企業や起業家はどのくらい事業拡大できたのか、雇用がどのくらい増えたのか、どのくらいマッチングできたのか、どのくらい資金調達できたのか、など、とにかく仙台市の創業支援の実績を調べました。

このように先進事例の実績を根拠に上司に強く説得したところ、約1年半かかりましたが、地域イノベーションラボこおりやまの事業化、予算化を実現することができました。」

 

仕事をする上で大切にしている考えとは?

「起業家を応援したい」というアツい情熱をもち、新規事業を実現させた深谷さん。

一体、どのような考えを持って普段の仕事をされているのでしょうか?

 

 

深谷氏:「上図の通り、私は仕事をする上で大切にしている考えが8つあります。

例えば、⑥ネットワークを有効活用するについて。

よくある行政の失敗パターンとして、事業の枠組みだけ作ったものの、いざスタートさせたら全く応募が来ない、なんて話をよく聞きます。それは、当事者と繋がりを作っておらず、生の声を聞けていないことが原因だと考えています。

今回の地域イノベーションラボこおりやまでは、繋がりのある起業家に、積極的に声がけをしました。おかげさまで、順調に企業・起業家から応募をいただいています。

少々大げさな表現ではありますが、ポイントは私にお願いされたら断れない、といった関係性をつくれているかどうか。常日頃から当事者との関係性を作り、活用することが重要だと考えています。」

 

創業支援担当者へのアドバイス

最後に、本セミナーに参加いただいている創業支援担当の皆さまにアドバイスをいただきました。

 

 

深谷氏:「創業支援担当者へのアドバイスは3つです。

①行政のデジタル化

DX化が進めば進むほど単純作業が減っていくことから、私の予想ですが、将来、自治体職員の仕事は3種類に分かれるのではないかと考えています。そうなった場合、どこの部分で自分の能力を生かしていけるのか、ぜひ考えてみていただきたいと思います。

②どんなところが楽しいと思えるか

私の場合は、郡山市の職員ではありますが、他市町村の起業家と繋がれることが楽しいと感じています。皆さんは創業支援の仕事を担当する上で、どんなことが楽しいと感じますか?

③自治体職員としての適性は?

創業支援の仕事には、個人の適性も関係してくると思います。起業家相手に仕事をするので、ITやデジタルのシステム活用は欠かせません。また、いかに現場思考で泥臭く動けるか、いかに楽しみながら仕事ができるか、が重要になってくると思います。」

 

おわりに

自治体職員という立場でありながらも、公私関係なく起業家たちと深い信頼関係を築いている深谷さん。泥臭くも楽しみながら仕事しているからこそ、民間、行政の両方の目線を持って、本質を突いたレベルの高い仕事ができているのだと感じました。

セミナー終了後に実施したアンケートでは、94%の参加者から「とても満足」「やや満足」とご回答いただきました。自治体職員の皆さまにとって、明日からの仕事に活かせるノウハウを提供できておりましたら幸いです。

ご参加いただいたみなさん、ゲストの深谷さん、誠にありがとうございました!

 

次回案内

次回の自治体職員向けのオンラインセミナーは、2020年9月11日(金)に開催します。

テーマは、「改めて考える。地域おこし協力隊制度活用セミナー」 。

弊社が地域おこし協力隊の企画、採用から定着支援までを担当する「まるまるまるもりプロジェクト(宮城県丸森町)」の事例紹介や、実際に地域おこし協力隊として着任し「ふるさと名品オブザイヤー」にて地方創生大賞を受賞した山下久美さんをゲストに迎え、地域おこし協力隊制度の活用のポイントを学びます。

▼イベント案内記事はこちら

https://mkto-will.jp/2020/08/25/0911/