首長インタビュー第14弾は、岩手県北上市の髙橋敏彦市長。

北上市では、「『あじさい都市』きたかみ」を掲げ、地域コミュニティ活性化に向けて積極的に取り組んでいます。

市長に就任する以前の活動や、北上市の展望についてたっぷりお聞きしました!

 

 

市民活動をサポートするNPO法人の立ち上げ

市長に就任する以前は、建築家として活躍したり、青年活動に携わったりしていたという髙橋市長。

ある時、市民活動の重要性を見出し、新たにNPO法人を立ち上げるに至りました。

「大学院を卒業後、地元の北上市に戻り、父親の設計事務所の手伝いをしながら、青年会議所や商工会議所の青年部などで活動していました。

そんな中、1995年に阪神淡路大震災が発生。

当時、震災の影響で行政がうまく機能できない状況下で、NPOによる支援活動が注目を集めていました。

その後、1998年のNPO法の制定をきっかけに、仲間と『市民活動を考える会』を設立。

学ぶ中で、『行政だけで地域を支えるのは財政的にも難しいから、市民は市民の役割を果たさなければならない』と考るようになりました。

そこで、市民活動をサポートするためのNPO法人を立ち上げ、代表に就任しました。」

 

地域に入り込み、”人口減少時代の地域のカタチ”を構想

NPO法人での活動を続ける中で、人口減少時代の北上市の生存戦略について考えるようになったという髙橋市長。

そこで注目したのが「地域コミュニティの活性化」です。

「ある時、『北上市の中心市街地は駐車場とシャッターが目立つようになってきた。このままでは、市はどんどん衰退してしまうのではないか。』という危機感を持つようになりました。

同じ危機感を持つ仲間たちと共に、人口減少に耐えられる町の形を考える中で、”コンパクトシティ”という概念にたどり着きます。

しかし、点在する農地や森林を守らなければ、日本の自然環境や産業を維持するのは難しい。

そのため、コンパクトシティに加えて、それぞれの地域ごとの、地域コミュニティの活性化が必要だと考えました。

市にも『北上市内の16の地域それぞれに、中心拠点を整備してはどうか』という提案をさせて頂きました。

しかし、当時はまだ人口が増加していましたので、なかなかその考え方は受け入れられませんでした。

地道に活動していくしかないということで、国土交通省の補助金も活用しながら、16地域でワークショップを開催し、『それぞれの地域がどうすれば元気になるか』ということを探りました。

その2年間の活動の中で生まれたのが、現在の町づくりの指針にもなっている『あじさい都市』構想です。

この都市構想を実践し、その成果を計りたいと考えていた時、先輩達から『市長としてまちづくりをやってみたらどうか』と言われ、迷いましたがチャレンジすることにしました。」

 

 

地域住民が意識的に考え、行動する「まち育て戦略」とは

北上市の16の地域をあじさいの花に例えた「あじさい都市」構想。

人口増加を前提とした都市部の拡大傾向を見直し、16の地域の資源を活かしながら自立したまちづくりに取り組んでもらい、都市拠点と地域拠点の連携・共生を目指すというものです。

実際にあじさい都市を実現するために、3つの戦略を策定したといいます。

「1つ目は都市全体を支える都市拠点と、それぞれの地域の地域拠点を決めること。

拠点を決めたら、それぞれ地域内の歩いて行ける範囲内で生活に必要な施設を集約します。

2つ目は都市拠点と地域拠点とを繋ぐこと。

繋ぐというのは、車が運転できない人でも移動できるよう、公共交通を整備することと、防災情報などが隅々まで行き渡るような情報ネットワークを整備することの2つの意味があります。

3つ目は、その名も『まち育て戦略』です。

地域拠点を整備するにあたって、行政だけではなかなか前に進まなかったり、行政が先導しても、住民の皆さんが満足いくようなものが出来上がらなかったりすることが予想されます。

地域の皆さん自身に、地域拠点のあり方を考えて頂き、それを行政と協働で創っていく。

このような地域の創り方を『まち育て』と名付けました。

この3つの戦略を、今進めています。」