首長インタビュー第9弾は、名取市の山田司郎市長にインタビューを実施しました。

「天然温泉施設」の整備のために行ったガバメントクラウドファンディング(※ガバメントクラウドファンディングに関する詳しい解説は、こちらをクリック)や駅前図書館の賑わいなどで注目を集める名取市。

復興の完遂と交流人口の拡大を同時に推進する山田司郎市長に、事業を進める上でのエピソードや想いをお話いただきました!

復興と市内均衡ある発展の両立を目指して

 

44歳の時に市議に初めて立候補して、2期8年が経過した2016年。

東日本大震災から5年が経っていましたが、名取市は復興公営住宅着工率が3%程度で、「名取は県内で一番復興が遅れている」と言われることもありました。

震災の被害が特に大きかった閖上地区の再建に関して、住民との合意形成が非常に難しく、復興がなかなか進まない現状にあったそうです。

そんな状況の中、復興と名取市のさらなる発展の両立を目指し、立候補を決意した山田市長。当時の想いをこのように振り返ります。

「その頃、被災していない地域の方々は待っているというか、遠慮しているのでは、と言う風に感じていました。

復興はもちろん最優先だけれども、市内均衡ある発展も同時に進めていかなきゃならないだろうと思い、立候補しました。」

 

民間で養った目線を行政に活かす

 

市長に就任して最初に取り組まれたことは、進行中の復興事業の洗い出しだったそうです。

「主要な復興事業の洗い出しをして、それを横に並べて、縦に時間軸を持ってきて、復興達成までの工程表を作りました。

それまでは、これをやらないといけない、あれもやらないといけないっていうことで、復興事業がそれぞれバラバラではないけれど、少なくとも統一した工程管理のなかではされていませんでした。」

それぞれの復興事業が、いつ完成し、どのくらいお金がかかるのか、総額はいくらになるかという見込みが立っていなかったため、それをはっきり立てる必要があったと語ります。

議員に就任する前は、エンドーチェーンの青果部長をはじめ、民間で経験を積んでいた山田市長。

「民間では当然、年次、半期、四半期。それから月次、週次で管理を行い、それに対して結果を受けて次の計画を立てて、その結果をまた受けて次の計画というサイクルを繰り返して行くのですが、この時の復興の過程においては混沌としていて、このような管理ができていませんでした。

ですので、

・2018年5月に閖上地区で『復興促進イベント』開催
・2019年5月に『閖上地区まちびらき』イベント開催
・2020年3月にハードの復興完成を表す『復興達成宣言』

というスケジュールを引き、それぞれどこまで進むかということを管理するようにしました。」

目指すところに辿り着くために、目標完了時期を設定し、逆算することで、事業に推進力が生まれる。このような取り組みからは、民間で養った目線やビジネス感覚が行政に活かされていることが感じられます。

ガバメントクラウドファンディングを活用した財源確保

 

名取市は、サイクルスポーツセンターの復旧整備を行う際、センターの魅力をさらに高めるための取組として、新たに「天然温泉施設」の整備に取り組みました。

クラウドファンディングの仕組みを利用したふるさと納税、「ガバメントクラウドファンディング」を活用し、1179万円にも上る寄附金が集まったといいます。

「ガバメントクラウドファンディング挑戦の裏には、国費で面倒を見てもらえるのは、あくまでも「復旧」の部分に限られるという背景がありました。

財政再建団体にするわけにも行きませんし、そこで、新しい財源はないかと考え、たどり着いたのがガバメントクラウドファンディングでした。

もうひとつ、ガバメントクラウドファンディングに挑戦した意義に、震災を風化させないということもあります。名取市の現状や、復興に向けた取り組みをより多くの人に知ったもらうことが大事だと考え、これを積極的に打ち出し、さらにそこに参画してもらおうと思いました。

温泉を掘る際、1,000メートル掘ると1億円かかるため、その10分の1である1,000万を目標として挑戦し、結果的には目標を達成することができました。

加えて、寄付をしてくれたお礼に温泉券をお渡ししたので、サイクルスポーツセンターが再建された後に、訪れてもらうきっかけにもなりました。」