日々、本気で実行する首長にインタビューをさせていただき、首長のビジョン、想い、現場職員への期待を皆さんに発信する首長インタビュー企画。

第5弾は宮城県柴田町の滝口茂町長にインタビューを実施しました。滝口町長はどのような想いで柴田町長に就任し、執務にあたっていらっしゃるのでしょうか?

インタビューの模様をたっぷりお伝えします!

 

[midashi]「町長に立候補したきっかけを教えてください」[/midashi]

 私は、もともと宮城県職員で、大河原地方県事務所の振興室長でした。

振興室長になった当初は、どうやって仕事を進めれば良いのか分かりませんでした。

県庁時代は、机の上だけの計画書作りや書類作りをやっており、実際にまちづくりに汗をかくということをしてこなかったからです。

そんな時、浅野知事の代理で、柴田町さくらの会主催による桜植栽1000本記念式典に出席した際、多くの先輩・後輩がまちづくりにかかわっていました。

その時「まちづくりは、机の上ではできませんよ」と言われたのが心に残りました。

そこで私は、柴田町さくらの会に入会し、地域の方と一緒に桜を植えたり、イベントに参加したりする中で、住民との協働によるまちづくりの必要性を感じたところです。

さらに柴田の桜をもっともっと有名にしたいという思いもあったことから、思い切って50歳で県庁を辞めて町長に立候補しました。

 

[midashi]「県庁職員時代と町長就任後のギャップはありましたか?」[/midashi]

2つありました。

 

1つ目は、仕事の相手先の違いです。

県庁時代は市町村長や職員・企業・団体の幹部など、森(=県全体)をみる人を相手にすることが多かったのですが、町長になってからは木(=住民一人一人)を相手に考えなければいけない。それが大きな違いでした。

 

2つ目は組織文化の違いです。

県庁では、長期総合計画や事業計画を作ったりするわけですが、トップや幹部などに説明し、納得いただくためには、わかりやすい資料づくりが基本であり、職員はそうした文化に慣れているし、長けていました。

 

しかし、市町村に来たら資料ではなく、言葉で行政が動いていたことにとても驚きました。

これまでのトップがあまりにも優秀で、頭の中に政策や事業内容、法律が入っていたので、書類を作成し残しておくといった文化がなかった。これでは組織の中に過去の積み重ねによる経験則が残せません。

そこで私が最初に始めたのは情報の共有化です。

わかりやすい書類を作成して情報を共有し、組織みんなで動くことが重要であること、とにかくみんなでやるんだという意識づけに取り組みました。

 

[midashi]「町長就任から17年近く経ちますが、この17年で柴田町はどのように変化しましたか?」[/midashi]

町長に就任した頃に問題になったのは、小泉内閣による6兆円余りに及ぶ地方交付税の減額でした。

この政策で財政は極めて厳しい状況となり、公共事業が回らなくなってしまいました。

柴田町単独の自治体では、もはや立ち行かなくなるのではとの懸念から、大河原町と村田町との3町で中核都市を作ろうと、二度にわたって三町合併を推進しようとしましたが、本庁舎をどこに置くかでなかなか決まらず、破綻してしまいました。

 

そんな時、東日本大震災が発生し、柴田町も道路や下水道などに被害がありました。

しかし、国の手厚い震災復興関連予算を活用できたことで、少しずつ財源に余裕が生まれてきました。

さらにこのお金をもとに、地域創生の深化に向けた先導的な事業に交付される地方創生推進交付金制度の活用を考えました。

 

そこで提案したのが、白石川一目千本桜と船岡城址公園を跨線橋で結ぶ、花のまち柴田ブランド化事業など合計10個の政策です。

そのうち、9個の申請が通りました。

うまくいったのは、県の地域振興課長時代、市町村への補助金を配分する審査を経験しており、審査する側のポイントを知っていたためです。

 

このように、国の制度をうまく活用しながら、数多くのアイデアを実現させたことで、国内外から多くの観光客に来てもらっています。

人口減少が進む中、おかげさまで柴田町の人口は横ばいを維持しています。

17年間たくさんの波に翻弄されましたが、うまくサーフィンのように波を乗り越えることができたかなと思っています。

[midashi]「柴田町の職員の皆さんにはどんなことを目標にして働いてほしいですか?」[/midashi]

住民相手の仕事なので「さ・し・す・せ・そ」を基本に仕事をしてほしい、といつも言っています。

「さ」は「さわやか」。職場に慣れてきても身だしなみには気をつけてほしいです。

「し」は「信頼」。住民から名前を覚えられ、信頼される職員になってほしいという思いがあります。

「す」は「スペシャリスト」。当たり前ですが、与えられた仕事はきちっとこなしてほしい。

それが「せ」の「説得力」にも繋がります。

住民から「なぜだめなんですか?」と聞かれても「法律に書いてあるから」では失格です。

なぜ法律に書いてあって、なぜあなたの言い分は通らないのかと、説得できるコミュニケーション能力をつけてくださいと言っています。

「そ」は「率先」。新人や中堅職員に関係なく、率先して個人的な能力を伸ばし、率先して行動してほしいです。