制度開始から今年で10年目となる地域おこし協力隊。

総務省の「地域おこし協力隊推進要綱」によると、平成30年度の隊員数は5,359名、

受入自治体は1,061自治体と年々規模が拡大しています。

このように地域おこし協力隊制度を導入する自治体が増加していることにより、有効求人倍率はどんどん上がっています。その結果、これまでよりも採用難易度が上がっており、採用方法に工夫が必要になってきました。

この記事では、弊社で取り組んできた事例から具体的な採用の工夫ポイントをお伝えします!

 

事例紹介:宮城県丸森町「まるまるまるもりプロジェクト」

 

2017年からスタートした、宮城県丸森町の「まるまるまるもりプロジェクト」。(https://marumarumarumori.jp/)

宮城県丸森町は人口約1万3,000人の緑豊かな小さな町。

起業家の誘致・定着を目的にこのプロジェクトが誕生しました。

その結果、昨年度は5名が丸森町に移住、全員が起業(2社登記、3社開業)。

今年度も5名の協力隊員の採用が確定しており、この2年間で10名の協力隊員を採用することができました。

 

戦略的に工夫したポイント

「まるまるまるもりプロジェクト」開始にあたって、我々が戦略的に工夫したポイントは以下の2つです。

1.目的を明確にする

もっとも重要なのは採用の目的を明確にすること。

言い換えると、目的に優先順位をつけることです。

総務省の資料を見ると、地域おこし協力隊の制度は、

・地域おこし

・移住者増加(定住)

・起業家増加

の大きく3つの目的がミックスされた制度です。

もちろん、この3つを一挙に実現出来るのがベストですが、

・確実に何か課題を解決していただくことを目指すのか

・移住者の増加を目指すのか(その場合、卒業後、どの様な進路を想定しているのか)

・起業していただくことを目指すのか

と、このどれを一番の目的とするかを明確にすることで、制度活用に一貫性を持たせることが出来ます。

丸森町では、「起業家の誘致・定着」と設定しました。

2.目的と4ステップ(①集客対象、②集客方法、③仕事内容、④フォロー)を整合させ、一貫性をもたせる
①集客対象(ターゲット)

「起業家の誘致・定着」のためには、どんな人材が適切なのでしょうか?

先ず、ターゲティングでのよくある失敗例は、

・ターゲットを明確にしていない(例:ただ単純に、田舎に移住したい層と設定する)

もしくは、

・ターゲットが狭すぎる

のどちらかです。

先ずは、我々が思う、「正にこの人」というターゲット像を明確にします。

今回の場合は、「東北出身、メガベンチャー勤務で将来は起業を検討している20代」がそれに該当しました。

→単純に地方に移住したい層では競争が激しいこと、より主体性を持って事業を進められる人材である可能性が高いなどが設定理由です。

かなり明確なターゲティングであるものの、

”東北”と絞ると、人数がかなり絞られてしまうのが問題点です。

そこで、少しターゲットを広げ、出身を問わず「メガベンチャー勤務で将来は起業を検討している20代」をターゲットにしました。

ターゲットが明確になったら、②集客方法、③仕事内容、④フォローを考えます。

 

②集客方法

Facebook、Peatix、SNS広告を利用し関心をもってもらうことにしました。

実際には彼らをターゲティングしたネット広告と、彼らが好みそうなゲスト(地方×スタートアップ界隈で活躍している方)を基調講演でお呼びしました。

”地域おこし協力隊”になりたい方はメインターゲットではないと考え、その様なイベントへの出展は控えました。

 

③仕事内容

起業家誘致と定住が目的なので、起業し自分の事業をスタートさせることがミッションです。それ以外の活動は極力入れない様にしています。

 

④フォロー

事業立ち上げの専門家である弊社と、伝え方・見せ方の専門家であるデザイン会社が定期的に打ち合わせの時間を設けるなどし、事業の立ち上げを支援しています。

最後に

いかがでしたか?

この事例のように、採用目的の設定とそれに沿う一貫した支援を行うことにより、

冒頭で触れた課題の解決に繋がると実感しています。

 

MAKOTO WILLでは、地域おこし協力隊採用の企画から集客、採用後のフォローまで一貫して行っております。採用にお悩みの自治体様からのご相談をお待ちしております。

 

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佐藤 桃子 MOMOKO SATO

東北大学経済学部在学中。
2018年2月にMAKOTOグループにインターンとして参画。地方自治体向け新規事業開発、広報等の業務に従事。

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